【完】イケメン*眼鏡*ランデヴー
………いや、これまで永太の運転が荒いなんて言って文句垂れていたけどさ、うん。



思えば、永太の運転で不安に思うことってなかったかもしれない。



後部席に座った私と雅治は、澪ちゃんの初心者丸出しの安全運転に逆にドキドキしていた。



いやね、永太より澪ちゃんの方がずーっと安全運転なんだよ。でもさ、余裕が無いんだわ。



いつも車に乗ると賑やかに歌っている雅治も、隣でしおらしく座っている。



「これが正しい初心者の運転なんだよね、そうだよね。」



「永太があんすかんかいブンブン余裕で運転しはるから、だぁんかい慣れてたな、わったー。」



二人で顔を見合わせてへらへら、と力無く笑う。



運転するのに集中している澪ちゃんは終始無言だし、こりゃ、話しかけらんないや。



ある意味地獄の安全運転ドライブで殆ど車の通らない離島と本島を繋ぐ海上の道路を進む、初心者号。



そんな車を包む、どこまでも高いビビッドブルーの青空が、やけに鮮やかに見えた。
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