君のイナイ季節
『えっと〜、一着の借り物は、好きな女の子をお姫様抱っこする、でした〜』

アナウンスがそう告げると。

「え〜!!」

と言う、女の子の叫びがあちこちで。

主に1・2年生が…

3年はだいたいみんな知っているのであの状態で走った拓海くんに賞賛の声をかけてくれて拍手をしてくれた。



「これで、みんなわかったでしょ?」

拓海くんは満足げに笑っていた。

そして、



「…もう一回、抱っこしていい?」

甘えるように言うけれど。

「それはここでは止めて!!」

私が頬を膨らませると拓海くんは人差し指で突いて笑っていた。

私も思わず笑った。
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