それでも、僕は恋をする。
なんてことを思っていると、今度はノックもなしに突然扉が開いた。
「直海さん」
「これ、渡しとくな」
そう言うと、直海さんは僕に名刺を手渡した。
僕も名刺を渡そうと取り出している間に、直海さんはさっさと部屋を出て行ってしまった。
「忙しい人だな」
僕は受け取った名刺を眺めた。
本当に先生してるんだ。
そして、裏側を見たとたん、思わず吹き出してしまった。
そこには、慌てて書かれた携帯電話の番号に添えて、『恋のフリーダイヤル。24時間受付』と書かれていた。
「まったく、あなたって人は……」
名刺を握りしめたまま、僕は笑わずにはいられなかった。
知らない間に、頬に涙が伝っていたけれど。
fin
2010年11月28日完結
2013年11月28日加筆修正完了
