それでも、僕は恋をする。
拓矢と過ごす時間は、僕にとって、なにものにも代えがたい。
拓矢の困惑した顔も、思いきり笑った顔も、たまに見せる真剣な顔も、僕の胸を熱くさせる。
だけど、僕に見せるそれらの表情は、僕が「友達」だからであって……。
そう思うたび、突然、孤独に襲われる。
僕は。
ずっと、恋愛はできないんだろうか。
ずっと、片思いし続けなければならないんだろうか。
「お~い」
ベンチで僕の隣りに座っている拓矢が、僕の顔の目の前で手を振っている。
「あ、ああ。ぼ~っとしてた」
はっと我に返り、今考えていたことを悟られないように、慌ててオレンジジュースを流し込んだ。
「オレンジジュース、一口ちょうだい」
拓矢はそう言って、自分が持っているジンジャーエールを僕に差し出している。
「う、うん」
どきどきしながらジンジャーエールを受け取り、オレンジジュースを手渡した。
拓矢は何の迷いもなく、僕がさっきまでくわえていたストローでオレンジジュースを飲んでいる。
僕も、平静を装って、拓矢のジンジャーエールを一口飲んだ。
間接キス、しちゃった。
のどの奥の方が熱を帯びて、顔が赤くなりそうだったけど、必死に抑えた。
その時だった。
一人の女子がやってきて、僕の真ん前に立った。