With 〜十字架と白薔薇〜
「おかえりなさい。」
部屋に入ると、先に戻ってイスに座っていた伊織さんが言った。
「あーゆー馬鹿ホント多いよねぇ!!
もう菜々めんどくさい奴と馬鹿はんきらーーーーい!!」
背伸びで体を伸ばしながら菜々は言う。
「莉緒奈さんモテモテすぎて
あんなの大量発生してて困るぜ。」
「それは美奈もでしょ?
女の子に告白されまくって、大変でしょうに。」
「やめてくださいよー、伊織さーん。」
伊織さんと美奈は
いつも親子みたいだ。
私に憧れてチームに入るやつは
前からもたくさんいて、
明里たちのような馬鹿も珍しくない。
だからみんな慣れてしまったのか
すぐに穏やかな空気に戻った。
琴美は部屋にある冷蔵庫からミネラルウォーターをだし、私に渡してきた。
「あの子たちには期待してたんだけど…ごめんね、莉緒奈。」
疲れた顔をして座り込む琴美。
「もう慣れそう。」
そんな琴美に私は笑いかける。
「確かにね。フッ。」
と、笑い返す琴美。