この運命を奇跡と呼ぶならば。

頬を桃色に染めて手を添えながらはぁと溜め息をつく娘はまさに恋する乙女、というべきか。

「今度は連れてきてやぁ!」

そして一方的に話を切ると他の客の接待に戻ってしまった。

残された二人は呆然としていたがお互いに顔を見合わせるとどちらからともなく吹き出した。

「…桜ちゃ、んっ。女の子に好かれてるみたいだよ。」

「そうねぇ…。私は女だし、あの娘(こ)の想いには応えてあげられないから、せめて柔らかく出来るだけ傷つけない方法を使うしかないけど…。そんな方法ないわよね。」

桜が女であることは新選組の最高機密であるので、それをばらしてしまう訳にもいかず頭を捻っていると隣の沖田がポンっと手を打った。

「ん?どうしたの、総司。」

「誰かに女装してもらって桜くんが男の姿で街中を歩けばいいんだよ!」

「…誰が女装するの。」

「それはもちろん…」

沖田は楽しいイタズラを思いついたように不敵に笑った。
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