この運命を奇跡と呼ぶならば。


藤堂は桜の肩を借りてゆっくり立ち上がる。


「…わりぃ…。」


「いいよ、これくらい。…みんな貴方のこと待ってるわ。」


ふらふらの藤堂を支えながら桜をどこに向かおうか考える。仲間のもとに行くにしたって戦闘が終わってるかも分からない。終わっていたとしても御陵衛士の死体があるだろう、それはついさっきまで仲間だった藤堂に負担がかかる。ただでさえ、斬られて身体的に負担がかかっていて今でも相当辛いだろう藤堂にそれはあまりにも大きな負担だ。


「…ら!桜!平助!」


とりあえず、足を進めようと歩き始めた直後、後ろから永倉と原田がやってきた。

「左之、しんぱっつあん……。」


「平助!大丈夫か?なにがあったんだよ。」



桜に担がれている藤堂を見て永倉と原田は何があったか桜に説明を求める。桜は素直にあったままを話した。


「…ごめんなさい…、私のせいだわ…。」



「いや、お前のせいじゃねぇよ。俺があの時、素直に言うことを聞かなかったからだ。自業自得だよ。」


へへっ、と笑う藤堂に桜は眉間にシワを寄せ申し訳なさそうな心配そうな視線を向ける。


「桜、それ。土方さんみたい。」


眉間にシワを見た藤堂は今度は楽しそうに笑う。



「…とりあえず、皆と集合するぞ。」


少し話がズレはじめたとき、原田と永倉がふたりを迎えにきた理由を思い出し話を戻す。そして、桜の肩に回された藤堂の腕を永倉が自分の肩に回させる。



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