この運命を奇跡と呼ぶならば。


「ごめんなさい。」


「別に構わねぇよ。これくらい。」


桜は女としては背が高い方だがやはり男よりも華奢であり、藤堂がいくら小さいと言ってもそれは男の中での話で桜との体格差はやはりある。


「皆はどこにいるの?」


「こっちだ。」


原田を先頭に新選組の皆がいる場所へ向かう。

そして、しんとした空気の中、藤堂がおもむろに口を開いた。

「……なぁ、伊東さんは…。」

藤堂の言わんとしているところを察し原田が答える。

「あぁ…殺っちまったよ。」


「そう…か…。」


消え入りそうな声でぽつりと呟いた後、藤堂も誰も喋らずそのまま他の者達と合流したのち、長い長い油小路の夜が幕を下ろした。


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