相容れない二人の恋の行方は

23 もどかしい二人

 弘毅さんと、木崎さんとの仲を取り持つことを約束してしまったのはいいけど、彼に彼女を紹介しようにも私は木崎さんの連絡先を知らないし、正直、いきなりこんな話を持ちかけられるほど打ち解けあった関係でもない。
 だから、この件について頼りに出来る人は一人しかいない。
 迷いに迷って、私は勇気を出してその日の夜に、ダイニングでお茶を飲みながら一服しているところで、新谷にこの話を持ちかけた。

「……と、いうわけなんですけど……」

 恐る恐る顔を上げると、すでに伸びていた背筋にさらに緊張が走って全身がが凍りつく。
 新谷が頬杖をついてもう片一方の手で握りしめる湯呑に視線を落としながら怒りのオーラを放っていた。

「……なんで、弘毅に会ってんの?」
「そ、それはほんとに偶然歩いていたら声をかけられて……!」
「なんで逃げないんだよ! あんなことがあったばかりなのに……!」
「に、逃げようとしたけど、強引に手を、引かれてしまって……!」
「トロイんだよ、真由子は」
「ごめんなさい……」

 怒る新谷と怯えながらもなんとか状況を説明する私。最後に謝ると新谷は呆れたように大きな溜息をつくとそのまま口を閉じてしまった。このまま沈黙していたらいけないと思い、なんとか話を続けようとした。

「木崎さんのことは、昔も好意を持っていた時期があったみたいで……」

 でも新谷からの応答はなく再び沈黙。負けじと、私は別の角度から切り込むことにした。

< 105 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop