相容れない二人の恋の行方は
「これを機に……っていうのは変かもしれませんが。仲直り、してみてはどうでしょうか……」
「急になに」
「前に言っていた、気の合う仲間って弘毅さんのことですよね……？　せっかく再会できたのだから」
「弘毅に酷いことされたんじゃないの？　よくそんなこと言えるな」
「一応……謝ってもらったし、あのくらいのこと、平気です。がっかりしたんでしょうね！　接してみたら思ってたのと違ったって……そう思われること慣れてますから」
「慣れてますからって……慣れてどうすんだよそんなこと。それに、怒るだろ普通。……ほんと、真由子中身は全然変わってないよな」
「私は……あなたたちみたいに……」
「え？」
「い、いえ。なんでもありません」

　うじうじしたはっきりしない私の態度が新谷の機嫌をさらに損ねたのか、新谷の口調はさらに強くなる。

「だいたいなんなんだよ、アイツ。つい数日前には真由子に手を出しておいて、すぐに次はまなみだって？」
「お、落ち着いて……」
「落ち着けるわけがない。アイツのあぁいうところだけは昔から受け付けなかった。一番むかつくのは、昔は真由子に見向きもしなかったのに、ちょっと綺麗になったからって目の色変えてすぐに手を出して…… 」
「わ、私のことはもういいですから！！　……話を、元に戻してもいいですか」

　弘毅さんに対しては、不思議と本当にもう恨みも怒りもなかったし、何より、新谷が自分を庇って自分のために怒っていることに違和感と胸の苦しさを感じて私は我慢が出来なかった。珍しく新谷に向かって大きな声で訴えると、新谷は口を閉じた。

< 106 / 194 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop