相容れない二人の恋の行方は

27 忌まわしき記憶の地、再び

 二度と乗るものかと心に決めていたジェットコースターに無理やり搭乗させられたのは四年前。あの時、改めて二度と遊園地には行かないと心に決めていたのに……

「約束の時間過ぎてますけど。遅いですね……二人とも」
「だから言っただろ? 約束の時間なんて守る方が馬鹿だって」
「どういう意味ですか。時間は守るものです」

 待ち合わせの場所は臨海みなとパークの入場口前。私と新谷は約束の時間にぴったりに到着したのに、先日一緒にお茶をした際に私たちをここへ誘った木崎さんの姿も、木崎さんがその後誘ったと思われる弘毅さんの姿もない。
 新谷は俯きがちにため息をついた。

「まなみはきっと今頃のんびり身支度してるよ。鏡の前でどっちのお洋服着て行こうかな~って。弘毅はまだ起きてないんじゃない?」
「はぁ!? もう昼過ぎてますけど!?」
「昔から変わっていなければ二人は驚くほど時間にルーズだ。……あ、結構、二人気が合うかもな」
「いやいや……納得している場合では……」

 信じられない……。本当に、新谷の周りは型破りな人間ばかりだ。

「こんなとこでいつになったら来るのか分からない二人を待っているのは退屈だ。先入ろう」
「で、でも。せっかく木崎さんが入場券をクジで当てたのだから……だから誘ってもらって。それなのに自分で入場券を買うなんてもったいないですよ」
「別にいいだろ、入場券くらい。ほら、行こう」
「で、でも」
「……あ。でもボク真由子に急かされて出てきたから手ぶらだった。大人二枚、買ってくれる?」
「……」

 基本、外での支払いはすべて私の役目だ。あとからきっちり請求しているけど。今日の場合は私の分も含め大人二人分を請求してやるんだ。
 私はしぶしぶ入場券売り場へと向かった。

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