相容れない二人の恋の行方は
 入場ゲートをくぐってすぐ正面に、新しいアトラクションを宣伝する大きな立て看板が視界に入る。
 禍々しい雰囲気が伝わってくるその看板のデザインから、お化け屋敷の宣伝であることは一目瞭然。
 なになに? 徒歩30分、ギネス世界一の長さを誇るお化け屋敷だって……? 私は「げっ……」っと小さく呟いた。
 お化け屋敷も正直得意じゃない。遊園地に私の心休まる場所はないのだ。
 不吉な予感におびえながら新谷の後をついて足を進めると、あっさりと看板の前を通り過ぎた。
 あれ……? 確実に新谷に目にも留まっているはずだ。新しいものは試してみようとする彼の性格からしてスルーするなんて予想外。思わず足を止め、看板を指差して声を掛けた。

「行かないんですか? いつもなら、すぐに食いつきそうなのに……」
「暗いところは好きじゃない」
「……え」

 はじめてかもしれない。はじめて、新谷の弱点らしい弱点がその口から告げられた。
 その時、走馬灯のように私が今まで新谷から受けた被害の数々が頭の中を駆け巡った。

「行きましょう! お化け屋敷!」
「……ボクは行きたくない」
「私、行きたいです、すごく!」
「……そこまで言うなら……いいけど」

 嫌々頷く様子が伝わってくる新谷の姿を見て内心私は微笑む。
 長年の恨みを晴らすのはここしかない! そう、思っていたのだけど……

「きゃあああーーーっ!!」

 長蛇の列を並び1時間以上待って入ったお化け屋敷で、誰よりも取り乱し、絶叫していたのは他ならぬ私自身であった。
 ちょっとだけ、イケるかなって自信はあった。
 でも、暗所は平気でも……小心者の私にはやっぱりお化け屋敷は無謀な挑戦だったのだ。

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