相容れない二人の恋の行方は

28 戸惑い

 観覧車に乗り込むと四年前と同じように、私は乗車口側で新谷とは対角線上に向かい合って座った。
 乗ってすぐ新谷の視線を感じて顔を上げると外に向かって手を振っていた。外に目を向けると私たちのあとに乗車する木崎さんが笑顔で私たちに向けて手を振っている。私も振りかえせばいいのに、理由は分からないけど出来なくて小さくお辞儀をした。

「暗い顔してるな。疲れた?」
「そりゃあ……まぁ」

 顔を隠すようにゆっくりと地上から離れていく外の景色に目を向けた。
 陽は沈みかけ赤い夕陽が少しだけまだ顔を出している。

「観覧車は平気だったよな」
「……はい。でも乗るのはあの時以来です」
「あの時って……四年前? 友達と行ったりしないんだ。結構いるじゃん。女の子だけで来てる人たち」
「私は……行きませんね」
「ほんとに友達いるの?」
「だからいますって! 失礼な……。……弘毅さんとは、もう仲直りできたみたいですね」
「別に。喧嘩してないし。こんなもんだよ男同士なんて」
「……はぁ」
「弘毅が相手だと喧嘩にもならない。怒ってたとしても一日経てばころっと忘れてる、そんな奴だよ。だからこっちもいつまでも根に持ってても馬鹿らしい」
「……たしかに」
「そういえば……さっき弘毅が言ってた私情とか勘違いとか。心当たりがまったくない。なんのことか真由子知ってる?」

 すぐにピンときて「たぶん……」と口走ってから沈黙したけど無駄だ。分かってる、簡単には見逃してもらえないことは。催促をされる前に口を開いた。

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