相容れない二人の恋の行方は
「真由子がボクのことを嫌っているのは分かっているって前に言ったけど、再会してからもボクの傍にいること自体は平気そうだから実はそんなに嫌われてはいないのかなとのん気なことを思ったりしていたんだ」
「……はい?」

 急に、なんなの……? 突然の話にわけが分からず、さっきまでの動揺が少し落ち着く。

「でもこの間真由子言っただろ? ボクと二人きりでいても何もないし、自分に好意どころか興味があるのすら疑問に思うって。その言葉を思い出してあとから、あぁ、そういうことかって思ったんだよ。真由子がボクと平気で一緒に居られるのはただ単に興味がないだけかって。まぁ、びびって逃げられるよりはマシだけど……」

 淡々とした口調で話しながらも、その瞳はじっと私を見据える。一瞬は落ち着いた動揺も、また少しずつ胸の鼓動が早くなってくるのを感じる。

「でも今日の真由子はさっきから明らかにボクを意識しているように見える。急になぜ」
「し、してませんよ、意識なんて……!」
「目を見て言えよ」
「……っ」
「ほんと、昔から目が合わないよな。視線を感じて合わせてもさっと逸らす。子供の頃親に言われなかった? 人と話すときは目を……」
「私だって、私だって本当は……!」
「……」
「ほんとうは……っ」

 言葉の続きがうまく出てこない。堪らずその場を逃げ出そうとしたけどそれは叶わなかった。
 新谷の手が、私の手を掴んで離さなかった。

「意識してるとか違うとか。そんなのもうどっちでもいいから。だけどもう、何も言わずに逃げるのはやめろよ。逃げるなら理由を言えよ」
「理由って、言われても……」
「真由子の気持ちがさっぱり分からない。黙って一緒にいるし、命令には従うし、嫌なら嫌だって言えばいいのに言わない」
「だって、言ったってどうせ無駄……」
「そんなの理由にならない。じゃあなんで前は一度逃げ出したのに、今は逃げない。今だったら出て行こうとすればいつでも出ていけるはずだ」
「それは……私も分からないんです」

 続きをじっと待つように新谷の手は私の手を強く握りしめたままだ。

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