相容れない二人の恋の行方は

36 ただ隣にいないのが

 早朝のオフィスビル。
 久々に足を踏み入れたその場所に入社初日以来の緊張を覚える。
 早く出社しすぎてしまったせいか社員の姿どころか人のいる気配もなく、目的の階でエレベーターを降りたフロア内はしんと静まり返っている。
 私はまっすぐにワークスペースへは向かわず、エレベーター横、自販機スペースに設置された三人掛けベンチに腰を下ろした。ふぅと一息ついて、伸ばしたつま先を見つめたまま今朝の出来事を思い出していた。

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