相容れない二人の恋の行方は
<番外1>
新谷視点(1)中3・冬
予報では今夜は雪が降ると言っていたのに一向に降る気配はない。雲の切れ間からは月が見えている。
車の後部座席に座り窓を少し開け、冷たい風を頬に受けながらぼうっと夜空を見上げていた。
自宅に到着して家に入ればいつも通りのウチの老年執事のお出迎え。
「お帰りなさいませお坊ちゃま。今日はお帰りが少し遅かったようですが?」
「学院の用事だよ。……あと、いいかげんお坊ちゃまって言うの止めてくれないかな。ボクはもう」
「そうそう、まなみお嬢様がお坊ちゃまに会いについ先ほどおみえになりました」
「……そう」
「お坊ちゃまの部屋にお通ししておきましたので」
「……はい」
こういう時はついにボケたのかと無理に納得して無駄な抵抗はしないでおくのが一番だ。僕が生まれるより前からこの家にいる彼に口論をして勝てたことがない。
靴を脱ぎまっすぐに自室へ向かおうとして、すれ違いざまに視線を感じて立ち止まった。
「あまり、旦那様や奥様に心配をかけるような行動はなさいませんように」
ちらりと向けた視線の先で一瞬だけ目を合わせ、そのまま口を開かずに部屋へと向かった。
車の後部座席に座り窓を少し開け、冷たい風を頬に受けながらぼうっと夜空を見上げていた。
自宅に到着して家に入ればいつも通りのウチの老年執事のお出迎え。
「お帰りなさいませお坊ちゃま。今日はお帰りが少し遅かったようですが?」
「学院の用事だよ。……あと、いいかげんお坊ちゃまって言うの止めてくれないかな。ボクはもう」
「そうそう、まなみお嬢様がお坊ちゃまに会いについ先ほどおみえになりました」
「……そう」
「お坊ちゃまの部屋にお通ししておきましたので」
「……はい」
こういう時はついにボケたのかと無理に納得して無駄な抵抗はしないでおくのが一番だ。僕が生まれるより前からこの家にいる彼に口論をして勝てたことがない。
靴を脱ぎまっすぐに自室へ向かおうとして、すれ違いざまに視線を感じて立ち止まった。
「あまり、旦那様や奥様に心配をかけるような行動はなさいませんように」
ちらりと向けた視線の先で一瞬だけ目を合わせ、そのまま口を開かずに部屋へと向かった。