相容れない二人の恋の行方は


「おーい! 新学期早々遅刻してきた人ー!」

 新学期初日、昼休み中の午後から登校すると教室からまなみが僕に向かって手を振っていた。その瞬間一身に周りの注目を浴びる。

「ねぇ、ちょっと話があるの。そこで待ってて」

 そしてそのままこの居心地の悪い場所で待たされる。少しするとまなみが小走りで僕も元へとやってきた。

「珍しいね。遅刻なんて」
「うん。なんか行く気になんなくて」
「え?」
「あ。あぁ、なんでもない。ちょっと用事があってさ。ちゃんと学院には連絡を入れてあるよ」

 休み明け、特に連休明けはいつも学院に行くのがダルい。高校進学三年目にしてはじめてそれを理由に遅刻をしてしまった。

「話ってなに?」
「うん。えっと……聞いてるでしょ? また新しく編入生が来るって」
「あぁ、そういえばそうだったね」
「その子……吉井さんっていうらしいんだけど。千智と同じクラスだよ。ちなみに……宮小路さんも」

 おそらくまなみも同じ。思い出すのはずいぶん前に編入してきておよそ一か月で退学していった渡辺さんのことだ。
 それで僕にどうしろと言うのだ。
 聞かなくてもお人よしのまなの言おうとしていることは分かる。とりあえずこの場は「分かったよ」と笑顔で返事をしておいた。

 自分のクラスに行き席に着き一息つくとすぐに目に飛び込んできた。
 挙動不審。怯えた様子で教室に入りキョロキョロと辺りを見渡している女子生徒。あれが編入生か。
 編入生らしき女子生徒と目が合うと、彼女はあからさまに驚愕した態度を見せた。今までになかった反応だ。
 ……いや、待てよ。感心している場合ではない。
 あの女子、どこかで会ったことがある気がするな。
 僕はゆっくりと立ち上がった。

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