相容れない二人の恋の行方は
 それから真由子とは必然的に行動を共にすることが多くなった。
 僕と真由子は実は昔からの知り合いで家族がるみの付き合いである。

「吉井さんのお父様と新谷君のお父様がご友人なんですってね! 学生時代の留学先がご一緒だったとか……」

 そんな僕の嘘を信じた宮小路さんに擦りよられ固まる真由子の表情はとても面白いものだった。

 校内ではほぼ行動を共にする。そこまでする必要はなかったが、僕たちの関係を不審に思う者はいなかったし、第一に、真由子は一緒にいて本当に飽きない。
 僕の課す無理難題にも必ず従うしついてくるし、常に全力だ。

 例えば勉強が出来ないふりをして真由子に勉強を教えてもらっていた時、自分でも答えを導くのに骨を折る超難問をぶつければ、次の日には目の下に大きなクマを作って登校してきた。僕のためか、ただ単に答えを求めて火がついたのかは分からないが徹夜をして解いてきたらしい。

 普段の動きから明らかに運動神経のない真由子にキャッチボールの相手を頼んだら、案の定投げたボールをキャッチ出来ず、キャッチできるまで帰らないからなと意地悪を言えば、言い出した以上本当にその通りキャッチできるまで投げ続けさせられ……自業自得だが、僕がいじめられている気分になった。

 ただの真面目か、それとも極度のマゾなのかの判断に困る。
 そんな真由子をみて最初はただ面白がって遊んでいただけだったけど、真由子といると生き生きしている自分には気づいていた。不良たちと付き合うようになり手下を従えるようになってから薄々感じてはいたけど、僕はサド気質なのだろう。

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