相容れない二人の恋の行方は
午前は広い屋敷の中の案内と、使用人の人たちの仕事の見学で終わってしまった。
午後、やっと新谷の自室に落ち着いて今日の勉強のノルマに向けてペンを走らせようとした時だった。テーブルを挟んで向かいに座る新谷が、ペンを指で器用にまわしながら言った。
「言っておくけど、ボクの趣味じゃないよ?」
「趣味って……メイド服のことですか?」
「うん。今のメイド長の趣味でさ。勝手に作っちゃったんだよ。あの独特の動作、作法も強要しているわけじゃない。……メイド長っていう呼び方も最初はとても抵抗があった」
「はぁ……」
「基本自由にさせてるんだけど短いスカートだけは、それはさすがに目に余ってやめさせたよ」
「そうなんですか……男性は普通短い方が嬉しいものでは……?」
「女性が、これみよがしに肌を露出しているのは好きじゃない」
「そう……なんですか」
新谷と行動をすることが多い私は特別にメイド服の着用は免れた。
約一か月、私はここで新谷の意のままに働く使用人。勉強合宿なんて言っていたけど、私を家の使用人たちに紹介した時点でそんなのきっともうすでに頭にないだろう。私はハナから諦めていた。
新谷の行動も思惑もまったくもって謎だらけだけど、そんなことに気を取られてばかりじゃいけない。私は受験生。私の将来を左右するかもしれない大学受験という大きな壁を超えるために、この最後の夏休みはとても重要。ここでライバルたちに差をつけられるわけにはいかないのだ。
新谷の新たな一面を知ったところで、私はすぐに視線をノートに移してペンを走らせた。少しでも勉強が出来る時に進めておかないと。
「真由子~。退屈だよ。遊びに行こうか」
「行きません。まだ待ってください」
「前から思ってたけどそんなに一生懸命勉強する理由ってなんなの? わざわざ栄華に編入してきたってことはそのまま内部進学だろ?」
「そ、それは……。ほ、ほら。内部進学だからって甘えて勉強を怠っても、大学に行ってから周りに馬鹿にされ……」
「付属校あがりの人間は学力が低いなんてのは的外れだよ。うちではそれなりの学力がないと高校までだって進学してこれない。……あ、そっか。今の君の成績じゃ内部進学もギリギリかもしれないね」
「くっ……だ、誰のせい……」
「それは困るね。しょうがない。ボクがみてあげよう」
新谷はおもむろに立ち上がると私の隣に腰を下ろして私が広げるテキストを覗き込んだ。そして「数学か」と呟くと、私のペンとノートを奪ってスラスラと書き記していく。問題を解きながら同時になされる解説もとても丁寧で分かりやすく、感心してしまうものだった。正直半信半疑だった。成績がいいのは、どこかでズルしてるんじゃないかって疑いも少し。それは違ったのだと反省する。
午後、やっと新谷の自室に落ち着いて今日の勉強のノルマに向けてペンを走らせようとした時だった。テーブルを挟んで向かいに座る新谷が、ペンを指で器用にまわしながら言った。
「言っておくけど、ボクの趣味じゃないよ?」
「趣味って……メイド服のことですか?」
「うん。今のメイド長の趣味でさ。勝手に作っちゃったんだよ。あの独特の動作、作法も強要しているわけじゃない。……メイド長っていう呼び方も最初はとても抵抗があった」
「はぁ……」
「基本自由にさせてるんだけど短いスカートだけは、それはさすがに目に余ってやめさせたよ」
「そうなんですか……男性は普通短い方が嬉しいものでは……?」
「女性が、これみよがしに肌を露出しているのは好きじゃない」
「そう……なんですか」
新谷と行動をすることが多い私は特別にメイド服の着用は免れた。
約一か月、私はここで新谷の意のままに働く使用人。勉強合宿なんて言っていたけど、私を家の使用人たちに紹介した時点でそんなのきっともうすでに頭にないだろう。私はハナから諦めていた。
新谷の行動も思惑もまったくもって謎だらけだけど、そんなことに気を取られてばかりじゃいけない。私は受験生。私の将来を左右するかもしれない大学受験という大きな壁を超えるために、この最後の夏休みはとても重要。ここでライバルたちに差をつけられるわけにはいかないのだ。
新谷の新たな一面を知ったところで、私はすぐに視線をノートに移してペンを走らせた。少しでも勉強が出来る時に進めておかないと。
「真由子~。退屈だよ。遊びに行こうか」
「行きません。まだ待ってください」
「前から思ってたけどそんなに一生懸命勉強する理由ってなんなの? わざわざ栄華に編入してきたってことはそのまま内部進学だろ?」
「そ、それは……。ほ、ほら。内部進学だからって甘えて勉強を怠っても、大学に行ってから周りに馬鹿にされ……」
「付属校あがりの人間は学力が低いなんてのは的外れだよ。うちではそれなりの学力がないと高校までだって進学してこれない。……あ、そっか。今の君の成績じゃ内部進学もギリギリかもしれないね」
「くっ……だ、誰のせい……」
「それは困るね。しょうがない。ボクがみてあげよう」
新谷はおもむろに立ち上がると私の隣に腰を下ろして私が広げるテキストを覗き込んだ。そして「数学か」と呟くと、私のペンとノートを奪ってスラスラと書き記していく。問題を解きながら同時になされる解説もとても丁寧で分かりやすく、感心してしまうものだった。正直半信半疑だった。成績がいいのは、どこかでズルしてるんじゃないかって疑いも少し。それは違ったのだと反省する。