相容れない二人の恋の行方は
「あ、あのすみませんでした……迷惑をかけて。付き添ってもらって……」
「あぁ、ほんとに」

 後ろから聞こえてくる声に答えながら立ち止まって振り向く。なぜだか分からないがイライラして、その雰囲気を察した真由子がびくっと肩を震わせて一歩後ずさる。いつもならそれで終わりだがなぜか今日は一歩前に出て近距離で見下ろす。
 そして気付く。さっきは養護教諭を前に全然熱くないと平気な顔をして言っていたけどやっぱりいつもに比べて顔が赤いのは明らか。しかもなぜだか分からないがみるみると赤くなっていく。

「……やっぱり顔が赤い。今日はもう帰った方がいい」
「……え? ……っ、こほっ……」
「え? じゃない! 咳してるだろう。鈍いの? 気づかないのか!?」
「ぬぁっ、な、なんで怒って……!?」
「さぁ!?」

 僕だってワケが分からない。ただ無性に腹が立つ。

 翌日から数日間真由子は欠席をした。理由はやっぱり風邪。
真由子が欠席して三日目の放課後、教室に残ったまま自席で帰宅して行く生徒たちをぼんやりと眺めてた。そして自然とため息が漏れる。退屈だな……。
 弘毅たちとは三年への進学と同時に会う回数が減り、夏にはもうまったく会わなくなっていた。付き合っている女性もいつからか気づけばいなかった。
 暇を持て余していて、連絡を取って会おうと思えば会える人間もいるにも関わらずそんな気にはなれなかった。

「……あーあ……」

 真由子、早く登校してこないかな。
 ただただそんなことばかりを考える日々。


(終わり)


< 194 / 194 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:9

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

この想いが届くまで

総文字数/68,695

恋愛(オフィスラブ)69ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
長年思いを寄せていた相手を信じていた友人に裏切られ奪われてしまった未央(みお)。 好きな人と友人を同時に失い立ち寄ったバーで自暴自棄になって飲んでいるところに現れた男性に悩みを打ち明け、涙を流してまで親身になって聞いてくれた彼に小さなときめきを覚え一夜を共にしてしまう。失恋から立ち直れるきっかけになるかと思えたが彼はどうやらワケあり男で……?
熱愛には程遠い、けど。

総文字数/41,332

恋愛(オフィスラブ)45ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
大手総合商社に勤めて三年目。 契約社員として働く古川 杏奈(あんな)は今年度で契約満期のため退職となる。その契約最後の年に、転職を考えたりお付き合いをしている恋人との結婚に悩みながら職場の上司も気になる(放っておけない)お話。
シュガーレス

総文字数/45,076

恋愛(オフィスラブ)38ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
実希子(みきこ)には身体だけの割り切った関係を続ける会社の先輩がいる。納得して関係を続けてきたつもりだったがふとしたきっかけに迷いが生じるようになる。 同時期に行きつけの喫茶店で激甘コーヒーを涼しげに飲む一風変わった男性と相席をする。彼と出会い交流を続けていく中で本当の自分の気持ちが見え隠れするようになって……?(全15話)

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop