相容れない二人の恋の行方は
「ボクらはただの幼馴染だよ。みんながお似合いのカップルだとか勝手に言って憧れているだけ。特に女子は、幼馴染って言葉に弱いみたいだね」
「……そう、なんですか……」
「君もそう思ってた?」
「いや、私はあまりお二人のこと知らないので……ただ、人からそう聞いたので……」
「ボクもさ、学院では爽やかで優しい誰もが憧れる理想の王子様、なんだって。……アホらし。勝手なイメージで期待を押し付けられて、うんざりする」
「で、でも……ネコ被って演じてるのは自分自身じゃないですか……」
「ネコ被って、か。ずいぶんとはっきり言ってくれるね」
「ご、ごめんなさい……!」
「その点、君といる時は自然体でいられるから気が楽だよ。初対面で、あれを見られちゃったからね」

 ふと外に目を向けると観覧車はちょうど頂上に差し掛かっていた。
 いつの間にか身体の震えは完全に止まっていて、見える景色にきれいだなという感想すらもてるほど気持ちに余裕があった。苦手だと思ってずっと敬遠していたけど、誰かさんの言う通りというのが癪に障るけどいつの間にか克服できていようだ。

「あれ……ですか。でも、そういえば最近はあまり、他校生とは会っていないようですね」
「……うん。ほんと、いい奴らだったよ。すごく気が合って仲良くしていた奴もいるけど……もう会わない」
「そうですか」
「別の、楽しいことを見つけたからね」

 お互いに視線は景色に向けたまま。最後、とてつもなく恐ろしい言葉を聞いたような気がするけど、あまりにもその声色が穏やかだったからこの時はすっと耳に入ってきた。

 こうして私の高校生活最後の夏休みははじまり、最初から最後まで新谷にふりまわされて忙しく過ぎ去っていった。

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