相容れない二人の恋の行方は
「あれ? また勉強してんの? 今日発売の漫画買ってきてもらおうと思ったのに」

 いつも通りの新谷がやってきて、私は模試の結果票をそっとバッグにしまう。

「もうすぐ期末試験なので」
「ふーん。でも真由子、この間のテストすごく出来よかったよな」
「……ありがとうございます」

 新谷は向かいに座って両肘を机につくと、手に顎を乗せ「どういたしまして」と言ってにっこりとわざとらしくほほ笑んだ。
 認めたくないけど、時々気まぐれに勉強をみてくれる新谷のおかげで編入してきてから落ち込んでいた私の成績も少しずつ上がり、今では編入してから知った意外にも学力の高いこの学園内でも上位の成績を取れるようにもなってきた。……お金持ちのお坊ちゃま、お嬢様が通う学校だからってナメていた自分に反省をする。

「今の成績なら、少しくらい落ちたって進学には問題ないよ」

 新谷は私は内部受験を希望していると思っている。有名ブランド校を捨て、外部受験を考えているなんて想像もしていないだろう。

「いえ、でも……。英語に少し不安が」
「ふーん。ま、弱点があるのはよくないね」

 新谷は隣に座ると、私が机に広げていたテキストを手に取った。
 そう、ただの気まぐれ。
 大学に行っても私を扱き使おうと思っているんだ。だから、私の進学の手助けをしてくれているだけ。

「どこが分からない?」

 私はここぞとばかりに不安が残る場所を新谷に訴える。機嫌が良い時は、そのすべてに丁寧かつ分かりやすくじっくりと教えてくれる。教師や塾の先生よりもずっと解かりやすい。
 希望する進学先のことを黙って、騙しているような気がして少し胸は痛むけど、私だって少しくらい新谷を利用したって罰は当たらないはず。今まで散々いいように利用されてきたのだから。
 私はセンター試験までの短い期間、出来る限り新谷を利用しようと密かに心に決めていた。

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