相容れない二人の恋の行方は
 珍しく、放課後用事があるという新谷から解放され一人で下校することが出来た日だった。寄り道などしないでまっすぐ自宅へと向かう道中だった。
 突然、見覚えのない制服を着た男子高校生が二人、私の前に立ちはだかった。

「おい、ほんとにこんな地味な奴が新谷の女なワケ?」

 長髪、原型のない着崩した制服、顔のピアス。見るからに柄の悪そうな佇まい。
 新谷の仲間だろうか。以前たびたび彼の仲間の元へ連れて行かれたけど、いつも恐ろしくて新谷の後ろに隠れてばかりだったから顔を見ても分からない。

「あれ? 震えてるー?」

 私は新谷と出会うまで男性とあまり接したことがなかった。会話もほとんどしたことがないほどに異性に免疫がなく、勝手に苦手意識を持っていた。そのうえ新谷と出会ってからは怖い思いをたくさんしてもっと苦手になった。
 無意識に震える体を必死に奮い立たせて、無視して通り過ぎようとするけど、再び行く手を阻まれる。

「最近顔見なくなったけどさぁ、アイツには数えきれないほどの恨みがあるんだよねぇ。それを晴らせないまま姿消されてこっちは超むかついてんの」

 じりじりと距離を縮めてくる男たちに、内側から溢れる激しい剣幕で高い位置から見下ろされ圧倒される。すぐにピンときた。おそらく、新谷がリーダーを務める不良グループと敵対していたグループの不良だろう。恐怖に震えて声が出ない。辺りを見渡して助けを求めようとしてもあいにく通行人一人いない。
 男の一人が私の腕を掴み、その力強さに激痛が走る。

「おまえをヤれば、あの新谷に少しは復讐できるのかなぁ?」
「やっ……誰か……!」
「お、泣いてる? いいね、その顔。おい、連れて行こうぜ」

 男二人の手が自分に伸びてきて、拘束され、身体の自由を奪われると、今までに味わったことのない恐怖に声も出ない。涙だけが静かに流れてズルズルと引きずるようにして連れ去られる。
 やだ、誰か助けて! 心の中で叫んだ時だった。

< 36 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop