相容れない二人の恋の行方は
 怒ってる……のかな。黙って、騙すようにして勝手に外部受験をして地方へ逃げ出したのは私だけど、別に、新谷に了解を得なきゃいけないことじゃないもの。私の勝手にして何が悪いの? 私は、新谷の召使いでも所有物でもなんでもないのだから。

「顔色も良さそうだしもう大丈夫か。どうしたんだよ、急に倒れるなんて」

 そう言いながら新谷は立ち上がった。心配してくれてる……? いや、まさか。私は過去にこの男のせいで何度も気絶する思いをしてきたし、今日の気絶だって元はと言えばこの男が原因なのだから。

「じゃあ、ボクはもう行くから」
「え……?」
「父に用事があってね」
「や、やっぱり社長とは親子なんですか……?」
「うん」

 あっさりと頷く新谷を見て、私は奈落の底に落とされた気分。
 やっとの思いで新谷から逃げ出すことが出来たのに、彼の祖父の経営する学院に続いて、次は彼の父の経営する会社に勤めていただなんて……。
 あまりに偶然の、不運な自分の今までの軌跡に言葉を失う。

「父とは出張先の空港でばったり会ったんだよ。それで今日一緒に帰ってきたんだけど……」

 言いながら横目で私の方にちらっと視線を向けると、その後は何も言わずに医務室を出て行った。
 ポカンと口を開けて、新谷が出て行った扉を見つめる私。
 突然の再会に酷く動揺したけど、あれから四年。四年も経てば人も変わるものだよね。ヒトをいじめて遊ぶ性質の悪い性格から改心したのかな。昔のように私に関わるつもりはないみたいだ。
 ほっと胸を撫で下ろしベッドから降りると医務室の担当医がやってきて、もう大丈夫ですとお礼を言い頭を下げて医務室をあとにした。

< 40 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop