相容れない二人の恋の行方は

13 ありえない勘違い

 部屋を飛び出した私を追ってきた木崎さんに連れられて、今までに入ったことのない、まるで異国の地に居るようなラグジュアリーな雰囲気のカフェに連れられた。

「さっきはほんと、勘違いさせるような話を聞かせちゃってごめんなさい」

 三段のイギリス式アフタヌーンティーセットの向こう側で、木崎さんが頭を下げる。……目の前の、三段プレートがすごく邪魔だ。

「顔を……上げてください。別に私は……」

 なぜここまで連れ出され謝られなければいかないのか。疑問で仕方がない。勘違いって……何?
 木崎さんは顔を上げると、ティースプーンでカップを混ぜ申し訳なさそうにしながら口を開いた。

「私と千智は幼馴染でお互いの両親も仲がいいし、お互いの家を行き来したことも昔からよくあって……私たち……学校内では浮いた存在だったから一緒にいることが多かったってのもあるんだけど。年頃になっても二人きりになることは多かったし、その、ただの興味本位で色々なことをしちゃったり……して。でもそれは吉井さんが編入して来る前までの話よ。私がさっき言った彼氏彼女って関係になったことは一度もなくて、さっきのはただの冗談で……。もちろん、今もただの幼馴染だよ」

 二人の関係の部分で曖昧な表現が多くてよく分からない。身体の関係はあったけど恋人同士ではなかったということが言いたいの……だろうか? でもなぜ? 私には関係のない話なのに。
 ただただ疑問だけを頭に浮かべながら、私は黙って木崎さんの話を聞いた。

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