相容れない二人の恋の行方は

14 消したい過去は他にも

 木崎さんが去った家の中は、彼女がいた時の明るい雰囲気から一変してしんと静まり返っていた。
 リビングでは昨日と同じで、私服姿で完全にオフモードの新谷と、私服でも勤務を意識したスタイルの私が離れて佇んでいた。

「そういえば……聞きそびれちゃったけど、何か、事情があって家を出てきたんじゃないんですか? すぐに帰っちゃったけど……」
「うん。なんかさ、いきなり親が見合い写真持って帰ってきたんだって。それで、まだ結婚なんかしたくないまなみと喧嘩になって家を飛び出して……ま、大病院の一人娘だから仕方がないよね。相手もしぼられちゃうというか」
「そんな事情が……でも、嫌で出てきたのに帰っちゃっていいんでしょうか……?」
「逃げててもなんの解決にもならない」
「……他人ごとですね。幼馴染なのに」
「ボクにどうにかできる話じゃないだろ? そういう君たちは、短時間でずいぶんと打ち解けたようだね。昨日も夜中まで二人で楽しそうにしてたし。昔、仲良かったっけ?」
「別に……いいじゃないですか」

 新谷は景色が見渡せる窓際へと移動すると景色を背もたれにしてこちらに振りかえった。

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