相容れない二人の恋の行方は
「そういえば、仕事は進んでる?」
「仕事?」
「今日までに冒険者ランクを5までに上げておけっていっただろ」
「そ、それは……まだ説明書の内容を理解するところまでもいけてなくて……」
「……え?」

 やるつもりではあったけどまだゲームのスタート地点にすら立てていない。それでも真面目に寝る時間を削って説明書に目を通した私。この努力だけを考慮して、こんなバカな業務はなかったことにしてくれないだろうか。
 一応「すみません」と謝った。でも新谷に怒っているような素振りは一切見られず、その表情はあっけにとられているように見える。

「あのゲーム……手に入れたの?」
「どこも売り切れでしたけどね。五軒回ってやっと……」
「信じられない。どこも売り切れ続出で即日完売ってテレビでやってたのに」
「……は。も、もしかして……! それを知っててわざと……!?」
「どうかな」
「!!」

 なんていう嫌がらせ! 手に入らないのを分かって買いに行かせるなんて……! しかもそれを堂々と認めたも同然!

「あ、あなた一体何がした……」
「やっぱり変わってない。なぁ、真由子。昔からどうしてそこまで真面目に従う?」

 一体何がしたいんだ! 怒りを込めたその一言も軽々と遮られた。

「昔は……学院で、一年間平和に過ごしていきたかったから。一応、あなたにはお世話になったし……」
「じゃあ今は?」
「今は……仕事だから」

 「なるほど」と呟くと、窓にもたれかかったまま腕を組んで微妙に体勢を変えた。

「黙ってないで嫌なことははっきり嫌って言えよ」
「……は?」
「言いたいことがあるならちゃんと言えよ。聞くから」
「?」

 新谷の言葉の真意はまったくの謎だったけど、ここぞとばかりに私は訴える。言いたいことなら山ほどある。

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