相容れない二人の恋の行方は
「今はもちろん恋人同士でしょう? ごめんなさい。知らなくて、急にお家に来ちゃって……」
「ま、まさか! 違います! これは……その、一緒に住むことになったのには色々な事情があって……!」
「事情?」
私は簡単に事情を説明した。元は新谷の父親が経営する会社に勤めていたとこと。そして、今は会社から出向という形で息子である新谷の元で秘書業務をすることになったこと……。自分でもまだ受け入れ切れていないこんなむちゃくちゃな話を、木崎さんはあっさりと受け入れ、そこからまた話は別のところへ。
「へぇ、おじさまの会社に。もしかして、アパレル関係?」
「えっと、アクセサリーの……」
「あぁ! そうなの! 吉井さん、見違えるように綺麗になったからきっと華やかなところに勤めてるんだろうなぁって思って」
「……そ、そうですか?」
「あ、別に前が綺麗じゃなかったってわけじゃないよ? でも今は前と違って垢抜けたというか……」
「あの頃は田舎から出てきたばかりだったので、ダサかったですよね……。あまり、自分の外見に興味関心がなく……」
「ううん! そんなことないわ!」
木崎さんは昔と変わらない。対して付き合いのなかった私でも、当時から顔を合わせれば気軽に話しかけてくれた。顔も変わらずお人形さんのように整った綺麗な顔をしていて、性格も良くとても明るい。嫌な思い出しかない高校時代の中で、彼女が唯一ほっとできる思い出かもしれない。
「でもやっぱり、女の子は恋をすると綺麗になるよね!」
「……いや、だからその」
いい人……に違いないはずだ。彼女に悪気はないだろう。
彼女の言う恋の相手を完全に勘違いされていることは分かっていたけど、ムキになって否定するのも馬鹿らしく思えるほどありえない話だ。テーブルに広がるオシャレなスイーツに目を向けながら気抜けしていると、木崎さんが「ケーキ食べよう」と言って私の分のフォークを手渡してくれた。
「ありがとうございます」
「ねぇ、昔から思ってたんだけどなんで敬語なの~? 普通にしゃべってよ! 同級生なんだから」
「あ……つい、癖で……」
「癖?」
新谷とは出会いがあんな形で、その後もあの上下関係。その影響もあって彼や、彼の周りの人間に対するときはつい敬語を使ってしまう。
「うん、分かった。敬語やめるね」
ようやく、この日はじめての笑顔を向けることが出来ると、木崎さんはケーキを頬張りながら満面の笑みを返してくれた。
その後二人で新谷の自宅に戻り、同居生活一日目の夜は三人で過ごし、木崎さんは私の部屋で一緒に寝た。
そして翌日、木崎さんは一泊だけして新谷と私に礼を告げ出て行ったのだった。
「ま、まさか! 違います! これは……その、一緒に住むことになったのには色々な事情があって……!」
「事情?」
私は簡単に事情を説明した。元は新谷の父親が経営する会社に勤めていたとこと。そして、今は会社から出向という形で息子である新谷の元で秘書業務をすることになったこと……。自分でもまだ受け入れ切れていないこんなむちゃくちゃな話を、木崎さんはあっさりと受け入れ、そこからまた話は別のところへ。
「へぇ、おじさまの会社に。もしかして、アパレル関係?」
「えっと、アクセサリーの……」
「あぁ! そうなの! 吉井さん、見違えるように綺麗になったからきっと華やかなところに勤めてるんだろうなぁって思って」
「……そ、そうですか?」
「あ、別に前が綺麗じゃなかったってわけじゃないよ? でも今は前と違って垢抜けたというか……」
「あの頃は田舎から出てきたばかりだったので、ダサかったですよね……。あまり、自分の外見に興味関心がなく……」
「ううん! そんなことないわ!」
木崎さんは昔と変わらない。対して付き合いのなかった私でも、当時から顔を合わせれば気軽に話しかけてくれた。顔も変わらずお人形さんのように整った綺麗な顔をしていて、性格も良くとても明るい。嫌な思い出しかない高校時代の中で、彼女が唯一ほっとできる思い出かもしれない。
「でもやっぱり、女の子は恋をすると綺麗になるよね!」
「……いや、だからその」
いい人……に違いないはずだ。彼女に悪気はないだろう。
彼女の言う恋の相手を完全に勘違いされていることは分かっていたけど、ムキになって否定するのも馬鹿らしく思えるほどありえない話だ。テーブルに広がるオシャレなスイーツに目を向けながら気抜けしていると、木崎さんが「ケーキ食べよう」と言って私の分のフォークを手渡してくれた。
「ありがとうございます」
「ねぇ、昔から思ってたんだけどなんで敬語なの~? 普通にしゃべってよ! 同級生なんだから」
「あ……つい、癖で……」
「癖?」
新谷とは出会いがあんな形で、その後もあの上下関係。その影響もあって彼や、彼の周りの人間に対するときはつい敬語を使ってしまう。
「うん、分かった。敬語やめるね」
ようやく、この日はじめての笑顔を向けることが出来ると、木崎さんはケーキを頬張りながら満面の笑みを返してくれた。
その後二人で新谷の自宅に戻り、同居生活一日目の夜は三人で過ごし、木崎さんは私の部屋で一緒に寝た。
そして翌日、木崎さんは一泊だけして新谷と私に礼を告げ出て行ったのだった。