相容れない二人の恋の行方は
「やっぱり真由子だ」

 その声に、思わず顔を隠すようにして俯いた。そんなことをしても意味のないことだとは分かっているけど、身体が勝手にそうしてしまうほど、会いたくない男性(モトカレ)だったのだ。二人の会話を俯いたままぎゅっと手を握りながら聞いた。

「誰?」
「ん~? 元カノ……かなぁ?」
「かなぁ?」
「だって。結構長いこと付き合ったんだけどさぁ、最後まではやらせてもらえなかったんだよね。会うたび何十回と迫ったけどいつも途中で待ったかけられて」

 聞いていられなくて、目を閉じて耳までも塞ごうとしたその時だった。
 「うわ!」という元彼の声に驚いて目を開くと、元彼が地面に突っ伏すように倒れていた。その元彼の背後にはじっと見下ろすようにスマートフォンを手にしたままの新谷が立っていた。

「……」

 無言でじっと見下ろしたまま、新谷は腰のあたりを押さえてうずくまる元彼と対面するようにゆっくりと足を進めて対面すると胸ぐらをつかんで引き上げた。そして見てるこっちですら怖いと感じるほどの鋭い視線を向けながら短い言葉を告げると、元彼と一緒にいた男性も二人そろって足早にこの場を去って行った。
 あまりに突然のことに呆然として、小刻みに震える足でなんとか立ち尽くしていると隣に人影が出来る。

「気が変わった。帰ろう」

 いつも通りの新谷のその声に、珍しく私は素直に頷いた。

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