青い嘘とブルーなKISS
近くのコンビニで買ってきたと思われる一本だけの傘を差しながらセナはすぐに戻って来た。


その傘の半分の隙間に身を寄せると、セナは先程と同じように会話も目的もなく歩き始めた。


ただ一つさっきまでと違うところは彼の半歩後ろを歩いていた私が、彼の隣を歩いていると言うところ。


一つの傘に二人で身を寄せ歩いても少しだけ肩が濡れてしまうようなそんな距離。


「手つないで歩かない?」


YESともNOとも返答する間も無く、セナの一言で二人の距離が更に縮まる。



セナの手は氷のように冷たく、ひんやりと心地良く感じた。



「ミウ、もしかして熱ある?手が熱いけど?」


「今熱があるかどうかはわからない。ただ、小さい時からすぐ熱の出る子だったから雨の日は外に出ちゃいけないものだと思ってた。」


「そうなんだ。帰ろうか?」


セナがそう言った瞬間、YESともNOとも言わせることもなく、私はセナの肩に手を回し、少し背伸び気味で強引に唇を重ねた。




時間にすればほんの一瞬の出来事だったのかもしれない。


12月と言う時期を考えると街ゆく人から見れば、良くある光景として微笑ましくも映っていたのかもしれない。



私は一度彼から唇を離すと、今度はセナのほうからキスを迫ってきた。


2度目のキスは唇がさらに強く絡み合い、お互いがお互いの身体を欲しているのだと理解できた。



帰ろうか?と言われたことが悲しいわけではなく、セナから迫られたキスが嬉しかったわけではないと思いながらも私の瞳からは雨をカモフラージュとして数粒の涙が溢れ出していた。
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