姐御な私と無口なアイツ。
まさかそんな可愛い反応が返ってくるとはおもってなかったため、この不意打ちは響いた。
麻奈が後ろ向いてくれてて良かった。多分絶対顔が悲惨なことになっている。無表情が崩れている自覚はある。
「……っでも!」
急に麻奈が声を張り上げ、有頂天になっていた俺は現実に引き戻された。
「……?」
けれど、声を張り上げたその勢いはすぐ萎んだようで、麻奈はもごもごと口ごもるばかりで何を言おうとしたのかわからない。
「……いきなり……は……」
「?」
「……いきなりされるのは、ちょっと困る、心構えが……」
蚊の鳴くような声でそう言うと、麻奈は力尽きたように膝に頭を沈めた。
「…………」