恐愛同級生
「数学なら多分教えられる。図書室で教えようか?」
「えっ!?ううん、多分ねすっごく難しい問題だから、翔でも解けないと思うんだ!」
「そんな難しい問題があるんなら、俺も知りたいな」
「あー……、えーっと、それだけじゃなくて、いろいろ先生に聞きたいこともあって……だから……」
しどろもどろになりながら必死に説明すると、翔は納得してくれたようだ。
「……――そっか、分かった。あんまり遅くならないうちに帰れよ?」
「うん。ありがとう!また明日ね!!」
「じゃあ」
あたしの頭をポンポンッと叩いて教室を後にする翔にホッと胸を撫でおろす。
ごめんね、翔。
嘘ついてごめんね……。
だけど、これも翔とこれから先もうまく付き合っていくためなの。
というより、翔に嫌われたくないという一心での嘘。
今日だけは大目に見てね……!!
少し時間を置いてから教室の扉からわずかに顔を出して廊下を見る。
「もう大丈夫だ……」
翔が帰ったのを確認してからあたしは隣のクラスへ向かった。