ミュゲ





「この国の民は皆、姫さまの幸福を願っております。ですので無理はなさらないでください。皆のためにも。」




「カッシュ、ありがとう。でもこれは私の決めたことよ? 皇太子殿下を愛し、愛されるように頑張るわ。」





能力を使わなくても築け合える関係になりたい。
幼い頃の想いはいつの間にか消え去っていたわ。

アルストロメリア皇太子殿下とはそれ以上の永遠の愛を繋いでいきたいと思うの……。






私は御輿の上から手を振り続けた。



ミジュの能力を少し操って、人々に幸が訪れるように願いを込めて。




私の碧眼は、抹消するためではない。

私の声は、滅ぼすためではない。

私の手は、破壊するためではない。


ミジュの能力は、苦痛を与えるものではない。





皆に幸福を――――







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