クール上司と偽装レンアイ!?
「……もう昔の事だって。忘れようとして、本当に忘れてたと思ってたの。でも今日朝井さんと話した事で気がついた、私はあの時の事、何も克服出来てなかったんだって。葵の気持ちも自分自身も信じられなくて、葵が朝井さんとやり直すって言っても仕方無いって思ったの、私が諦めるしかないと思った」

私の言葉に葵は頷く。

それからその強い腕を私背中に回し、自分の胸に引き寄せた。
直に感じる葵の鼓動は、いつも以上に早かった。


「彩が傷付いたのは分かる。今でも傷が癒えてない事も。でも頼むから諦めないでくれ」

「葵を好きになって私の中で沢山の事が変わったの。私だけ見て欲しい、ずっと側にいたい。そんな風に欲が出た。でも恐いの、また失ってしまったらって……葵に選ばれる自信が持てないの。いつか傷付くなら初めら諦めた方がいいって逃げ出したくなる」

「俺は彩を裏切らない。彩が好きだ、もしこの先逃げ出したくなる事が有っても俺は彩を諦めない。だから彩も俺を信じてくれ」

「葵……」

私を抱き締める葵の腕の力が強くなる。

「私も葵が大好き。少しの事で直ぐゆらいでしまうけど、そんな弱い自分を変えたいよ」

「少しずつでいいから俺が彩を変えるから」

葵の温もりの中、私は涙が止まらなかった。

「この前はごめんなさい。葵に私の気持ちは分からないなんて言って……」

私の気持ちを誰より分かってくれてるのは葵だったのに。

「辛くて苦しくて……自分でもどうしようもなくなっちゃったの。仕事は認められないし、私なんてどこからも必要されてないんだって、いじけて葵に八つ当たりした」

「もういいよ。俺の方こそごめんな。好きじゃないなんて言って。売り言葉に買い言葉だったけど、後悔したよ」

葵は私の体を離し、顔を覗き込んで来た。

「彩を愛してる」

そのまま唇を重ねられる。

穏かな優しいキスは心も体も温かくしてくれる。

もう自分自身の弱さに負けたくない。諦めて葵を離したくない。

恐くても、もしこの先傷付く事が有ったとしても私は葵から逃げたくない。

それは私にとって生まれ変わるような、未来に向けての誓いだった。
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