たったひとりの君にだけ
「瑠奈は一体何を期待してたの」
「期待も何も、生まれて初めてクリスマスイヴを男と過ごしたくせにそれだけってなんなの」
「最初から美味しい物奢ってくれるなら付き合うって約束だったんだから、それ以上もそれ以下もないでしょ」
「普通、それ以上があるのがクリスマスってやつでしょ」
幼少期、クリスマスに何もいい思い出がなくて放棄した私に、そんな台詞を浴びせたって確実に無意味。
クリスマスマジックなんて信じちゃいない。
ただ、絶品ラーメンを食せたことは心から感謝している。
ついでに閉店間際のスーパーで翌晩のおかずまでゲット出来たことも、棚からぼた餅状態でラッキーだったと思っている。(ちなみに味付けメンマとハタハタの唐揚げを購入)
「第一、奴はそこまでクリスマスに拘ってなかったけどね」
たったひとつのきっかけに過ぎなかった。
ただそれだけのことだ。