たったひとりの君にだけ
「……嘘だよ、そんなの」
「へっ?」
ボソッと口にした途端、極上のマヌケ声が聞こえた。
それはもう清々しくて思わずツッコみたくなるレベルだけれど、ここは大人になろうと思う。
「……ルームシェアなんてしたことない」
再度、誰が見てもわかるほどに驚く高階君に、私はさらっと言ってやる。
勿論、視線なんてものは合わせず、そっぽを向きながら。
もういいや、というわけではないけど、観念したように本音を零してみる。
「他人と暮らすなんて無理。住んでる場所なんて教えてない」
「え?ど、どういうこと」
「嘘吐いてたの。ルームシェアしてるから家には来ないでって。同居人が他人が来るの嫌がるからって」
呆気に取られているのか、なんなのか。
わからないならわからないままでいいやと思い、私は続けることにする。