たったひとりの君にだけ

そして、私の只ならぬ剣幕に圧されたのか、彼は『白状します』と口にした。

はたから見れば警察と容疑者だ。(どっちがどっちなんて言わずもがな)


「……ほら、あの……、クリスマスイヴに、ラーメン食べに行ったじゃないですか、俺と」

「は?ラーメン?」


まさかのワードに勢いが削がれた。

親切にも『あれ?』と顔に描いた私に気付いているのかいないのか。

絶対的に後者の彼は、僅かに怯えた様子を見せつつ正直に話す。


「あ、はい。で、俺、あのラーメン屋で、自分の食べたラーメンに加えて、一緒に食べに行った人のラーメンも写真に収めるから撮らせて下さいって頼んだの、覚えてますか?あのとき実は、芽久美さんの食べてた味噌ラーメンを撮る振りして、本当は芽久美さんを撮ってた、みたいな……」

「はぁ!?」


もはや、場所なんて考慮する余裕はなかった。

偶然、反対側を通り掛かった女性が思わず身を引いたのを視界の隅で捉えても。
勿論、すみませんと頭を下げる余裕もなくて。
私はただ、素っ頓狂な声を上げていた。

そして、案の定、二の句を継げなくなった私に、高科容疑者は素直に自白を続けていく。


「カメラ位置おかしいよって突っ込まれるかなって内心ビビってたんですけど、芽久美さん、別に警戒心なしに麺を啜ってるからヨシ!と思って。で、タイミング見計らって撮ってみました。シャッター音オフにしてたし。……凄く可愛かったです」


去年くらいに流行した“てへぺろ”ってやつをやりそうな勢いだった。

開いた口が塞がらないとはこのことか。


何が、可愛かった、だ。


そんなこと言われて喜ぶとでも思ってるのか!
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