たったひとりの君にだけ
「変態!変態!へんたーい!!やっぱり盗撮じゃない!」
人目も憚らず大声で叫ぶしかなかった。
『お巡りさん!ここに変態がいます!助けて下さい!』と交番に駆け込むレベルだ。
先手を打って『ここ外!道路!警察来る!』と窘められたけど。
さっきの女性くらいは、遥か後方でこちらを振り返ったんじゃないかと思う。
「……もう、信じられない。しんっじらんないっ!」
「すんません、ほんっとすんません。出来心です、すんません。でも、それを直輝に見せたから、芽久美さんだってわかったんだと思います」
そういえばだけど。
店に入った瞬間、微かに驚かれたような気もする。
(全てを知った今だからそう感じるだけかもしれないけど。つまりは単なる勘違いってことにしとく)
「で、」
「なに」
最上級の細目で睨んでも、何故か今度は怯む様子はなく。
「……直輝、言ってました。カッコよかったって」
身に覚えがない、そう思い、更なる睨みを利かせた直後の彼の言葉に、見事に精神的にえぐられる。
「ほら、あれですよ、『ラーメンのない生活なんて嫌なのよ!』っていう台詞」
そして、むしろ怯んだのは私の方だった。