たったひとりの君にだけ

「……あのね、私は勝手なの、身勝手なの。だからクリスマス前に別れようって言うの。何度言えばわかるのよ。樹だってそうだった。シンガポール転勤の話を上手く利用したの。私は平気でそういうことをする。そういう奴なの」


それ以上もそれ以下もない。

勢いのまま捲くし立てる。
この事実を、僅か十数センチの距離で言われても。


あなたはまだ、そんな冗談を口に出来る?



「優しいなんてありえない」



いい加減わかってよ。

私が優しい人間ならば、世界中の人間が優しいことになるのだから。

(だけど神村樹だけは除きたい)
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