たったひとりの君にだけ

「今日はありがとうございます」

「……どうでもいいけど」

「だから、やっぱり優しいんですよ」

「だから優しくなんかないってば」


どうしてわざわざ話を戻すのだろう。
カッコつけたまんまで終われば、少しは見直してもよかったのに。

残念ながら、彼はなにがなんでもこれだけは折れてくれないようで。
だけど、こっちだって簡単に白旗を揚げるわけにはいかない。


勘違いなんてしないでよ。


こんなところで寒いからと言ったのは、林檎みたいに顔が赤くなってたから。

クリスマスイヴに折れたのは、美味しいラーメンをタダで食べさせてくれるという条件を飲んだから。

風邪を移すから早く帰ってと言ったのは、それ以上の失態を見られたくなかったから。

飲み物やアイスを食べてもいいと言ったのは、無理矢理話題を変えようと思ったから。


そして、今日、私からラーメンに誘ったのは、久々に食べたいと思ったからに過ぎない。


全て、自分の為だ。
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