たったひとりの君にだけ

「それより」


今度はなに。


「お前さ、一度は付き合った男をどうでもいいなんてひでぇな」


そして、突然何を言い出すんだと思った。

その先が読めてどっと疲れる。

時間だけが過ぎていく。

そんな無駄話に付き合うほど、私はお人好しでも暇人でもない。


「普通でしょそんなの」

「お前ずっと一人でいるのか?」


また勝手に話題を変更する。

一体誰の許可を取ってるの?
そんなに主導権を握りたいわけ?


「なんの話。私帰る」

「お前の生き方だと一生結婚出来ねえって話だよ」


まるで見下した口調に、私は即座に反論する。


「結婚が全てじゃないでしょ。それに知らないの?日本の未婚率ってどんどん上昇してるのよ」

「そんな話はどうでもいいんだよ。要は、毎回クリスマス前に別れるを繰り返して、なんの意味があるんだってことだよ」


その一言に。

心臓が鈍い音を立てた。



意味ってなに?

それがなんだっていうの?



百歩譲ってそうだとしても。

樹に話す義務はない。
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