たったひとりの君にだけ

「とにかく、そのお金は受け取らない」


言い返さなかった樹に、私は再度断言する。

絶対に曲げない。

思うツボだなんて絶対に御免だ。


「じゃあ、受け取らなくていいからフランスに来いよ」


それなのに、またそうやって意味不明なことを喋り出す。

交換条件にしても、提示された条件が意味不明。
話のすり替えが酷過ぎる。


「バッカじゃないの」

「バカじゃない」

「しつこいんだって」

「褒め言葉だな。一途ってことだろ?」

「どんだけポジティブなの」


その強靭なメンタルがあるから、フランス支社を取り纏めるまでに至ったんだろうね。


「それが俺の長所だからな。で、受け取るか、それともフランスに来るか、どうすんだよ」


話にならない。

だったらコンビニの募金箱にでも入れて帰るわ。
< 212 / 400 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop