たったひとりの君にだけ
我が家で一番大きなトレーに一式並べて、早々とリビングへと向かう。
「今出来るからちょっと待ってて下さ~い!!」
サラダにこんなに手間取る人も珍しい。
絶滅危惧種は私じゃなくて高階君だと思う。
空返事をしながら新品のランチョンマットを敷いて、その上にメインディッシュから並べていく。
大きめのオムライスを向こう側に、ワンサイズ下を手前に置いた。
そして、どうしたものかとキッチンに戻り様子を伺うと、ちょうど最後の盛り付けに取り掛かっているところだった。
ひとつひとつのパーツは果てしなく微妙でも、全体的な雰囲気で誤魔化そうとしているのが伝わって来る。(トマトもなんだかいびつである)
敢えて口を挟まずに、私は残りの飲み物とグラス、ドレッシングをリビングへと運んだ。
そして、エプロンを畳み、ソファの隅に置く。
すると、『出来ました~!』という元気な声がキッチンから聞こえて来た。
おめでとうと祝福すると、彼はサラダを両手に駆けて来る。
達成感に満ち溢れたオーラ。
偉業を成し遂げた顔だ。
「キッチンの電気消して」
「あ、はい!」
一人暮らしに節電はつきもの。
勿論、言うまでもなく節水も。
自炊をしないならせめて光熱費等は節約しましょう、高階君。