たったひとりの君にだけ
「メグ先輩」
「ん?あ、面談だよね。行こっか」
「……何かありましたか?」
早く終わらせて早く帰りたいんだろう。
そう思って一緒に会議室へ向かおうとしたのに。
何の脈絡もない問い掛けに、動きは止まり、反応は遅れた。
絶対に、あまりにも唐突で、しかもざっくりしていた所為。
私は彼女の顔を見つめるに留まっていた。
「すみません、急に」
「……え、別にいいけど、どうしたの?急に」
すると、彼女は声をワントーン落とした。
「メグ先輩、なんだからしくないな、って思ってて」
「え、なんで」
「昨日の朝イチのミーティングも珍しく噛み倒して、『あぁ~もういい、終わり!ファイト!』って言って強制終了したし、昨日の面談のとき、書類作成で2回ミスったって真智子が言ってたので」
思わず耳を塞ぎたくなる失態ばかり。
「今日も、財布忘れてお昼買いにいきかけましたよね?」
「……見てたの?」
「はい、バッチリ」
情けない。
穴があったら入りたい。
そんでもって、冬が終わるまで出たくない。
だけど、実加ちゃんに心配されるのもわかる。
本当に、普段なら絶対にやらないミスばかりだ。
「それに、目の下のクマ、コンシーラーで隠せてないです」
思わず顔を背けた。
頭を抱えたい勢いだ。
けれど、一瞬でさえそんな暇も与えられなかったのは。
信じられない一言が聞こえたからだ。
「……神村さんが原因ですか?」
今日は、言い淀む日だ。(これ決定)