たったひとりの君にだけ
「実はちゃんと料理したりするの?」
「稀に、ですけどね。なんでそんなこと聞くんですか?」
「だって、週に5日ラーメンだって言ってたから」
「それは嘘じゃないですけど」
「残り2日は?」
「スーパーの惣菜とかコンビニとか、あとは同僚と飲みとか」
それってやっぱり自炊ゼロじゃないの。
あまりにも想像通り過ぎて開いた口が塞がらない。
家にいるときは自炊推奨派の私とは大違いだ。
でも、男の一人暮らしなんて所詮こんなもんか。
歴代の彼氏もそんな感じだった気がする。
「残してもいいですから」
「残さないよ。食べ物を粗末にしたら怒られるんだから」
というより、正しくは相当お腹が減っているだけだ。
しかも、これまた案外美味しいもんだから、レンゲを口に運ぶ手が休まらない。
ゆっくりと、だけど着実に量を減らしていくすぐ傍で、彼は私をニコニコ顔で見つめている。
「……何」
「いえ、一生懸命食べてくれて嬉しいなって思っただけですよ」
「ふうん」
「それに、食べてる姿、可愛いなって」
引きつった顔で彼を見る。
だけど、そんな私の様子などお構いなしで、更なるとんでもない言葉を口にした。
「寝顔も可愛かったけど」
懸賞で当てた安くさい器を落としそうになった。(何に応募したかは覚えていない)