たったひとりの君にだけ

「……うるさいな。っていうか、そっちはご飯食べたわけ?」


無理矢理話題を変更して、不利な立場から抜け出そうと試みる。
反論出来ないとわかったら、先手を打って逃げるが勝ち。


「俺っすか?俺は薬局の帰りにコンビニで買ったので、後で食べますよ。特盛牛丼とたまごサンドとツナサラダ、食後にチョコクレープ」


私の狡賢い作戦に見事に乗っかってくれた。
非常に喜ばしいことだけど、その底知れぬ食欲は恐ろし過ぎて言葉が出ない。


「まだ食べられます」


げっ、と思いつつ、じゃあ限界にでも挑戦してみなよと思った。


「……コーヒーとか紅茶飲みたいなら、それくらいはあるから。あとは缶ビールも冷蔵庫に入ってるから勝手に飲んでもいいよ。確か、冷凍庫にアイスもあったはずから食べたいなら食べて。あ、でも、ハーゲンダッツだけはやめてね!」


元の話題に絶対に戻れないように、思いつくままに挙げてみる。

だけど、ハーゲンダッツは譲れない。

疲れを癒す為のサプリメント的存在でも、毎日摂取は金銭的に不可能。
スーパーでは200円を切っていても、コンビニ限定だったらプラス100円はするし。

いくらお世話になっても、それとこれとは別問題。
食べ物の恨みは恐ろしいのです。
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