たったひとりの君にだけ
「……ねえ」
ん、とだけ返事をして、彼はこちらを向く。
視線を交えながら言葉を交わすことに、未だ慣れないわけだけど。
たまにはいいかな、なんて私も。
月曜の憂鬱さの所為でおかしくなったのかな。
「……あのさ」
「はい、なんですか?」
「ほら、いろいろ、お世話になったじゃない?だから、お礼に、ラーメンなんて、どう……?」
だけど、語尾が消えかかったと同時に、私は視線を外してしまった。
予想外の純粋無垢なその瞳が、大寒波の所為で都会に降った新雪のように眩し過ぎて、見続けるには勇気が必要だった。
何もかも自分とは違うと、思い知らされてしまうような気がして。