たったひとりの君にだけ

で、話を戻して、一体どなたなのでしょう。

挨拶もなしの、いきなりの呼び捨てを喰らった私はわかりやすく固まっていた。


『おーい、芽久美。芽久美だろ?』


誰だよ、こんな失礼な奴。
まずは自分の名前くらい名乗りなさいよ。
常識でしょ、常識。

だけど、そんなこちら側の胸の内など知る由もない電話の男は、なかなか返事をしない私に対してクスッという笑い声を漏らした。



『俺だよ、俺。わかんない?』



あぁ、これが所謂、全国的に有名なオレオレ詐欺ってやつなのか。

あれ。

今って母さん助けて詐欺なんだっけ?
< 81 / 400 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop