たったひとりの君にだけ
で、話を戻して、一体どなたなのでしょう。
挨拶もなしの、いきなりの呼び捨てを喰らった私はわかりやすく固まっていた。
『おーい、芽久美。芽久美だろ?』
誰だよ、こんな失礼な奴。
まずは自分の名前くらい名乗りなさいよ。
常識でしょ、常識。
だけど、そんなこちら側の胸の内など知る由もない電話の男は、なかなか返事をしない私に対してクスッという笑い声を漏らした。
『俺だよ、俺。わかんない?』
あぁ、これが所謂、全国的に有名なオレオレ詐欺ってやつなのか。
あれ。
今って母さん助けて詐欺なんだっけ?