想い続けて。
由紀と凛子と祐也、三人の、帰る方向は同じで、由紀、凛子、裕也の順に、学校から家が遠い。それに、篠田千里も加わり、いつものメンバーとなる。四人で自転車を並べ、帰っている途中に、図書館に寄ろうと提案したのは、祐也だった。
図書館とは言っても、目的は読書ではなく、図書館の前に広がる芝生公園で、話すことである。以前も、下校時間が早い時などは、時折ここに着たりしていた。
図書館の前に自転車を停め、芝生を横切り木陰へ向かう。木陰に腰掛けると、最初に由紀が口を開いた。

「…私、後悔だけはしたくなかったんだ」

由紀の頬を、涙が一筋伝う。

「告白して、振られてもそれはそれで仕方ないと思ってて、それでも、告らなきゃよかったってだけは、思いたくなかった」

俯いた由紀の目から、雫がぽとりと地面に落ちた。睫毛を震わせると、由紀は制服の袖口で涙を拭った。

「ま、よく頑張ったな」

祐也は、由紀の頭をぽんと叩いて立ち上がった。また、由紀の目から涙があふれる。風がさぁっと吹き抜け、緑をさざめかせていった。
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