少女達は夢に見た。
「同性愛のなにがいけないんだー!」


わけわからんことを叫んでベットに寝転んだ。


そんな勢いよく跳ねたらほこりまうじゃん。


「美形同士ならなんでもいいよ。」


「おい」


なんか論点ずれてきてるぞ。


「あれ?柚奈ってそっち系の人だっけ。」


「そっち系ってどっち系?」


体をむくりと起き上がらせて。


…客人がいるのに寛ぎすぎではないか?


「あ。別にあたしは百合の人じゃないよー?」


しゃべり方まで寛いでるし。


いやいやそっちじゃなくて。


私はボーイズラブの好きな人かどうか聞きたかったんだけどな。


まあいいか。


そうだこの際柚奈にも聞いておこうか。


「ねぇ、柚奈」


「んー?」


ベットの上でオヤジポーズ。


「知り合いで百合カップルとかいる?噂とかでもいいけど」


「いないよ、いないいない」


「……やっぱり」





「なんで“リトマメ”と“右大臣”読んでたの?」


飽きっぽい柚奈がどうして読書なんてするきになったのか、やはり聞いておきたい。


私がすすめたときは興味持たなかったくせに。


それどころか逆に少女漫画をすすめてきたじゃないか。


そういうと柚奈は「そうだったけ?」と、笑って誤魔化した。


しかも27巻完結のやつを。


全部読んだけどさ。


うん、おもしろかったよ。


柚奈からすすめられたものはとりあえず関心は持つ。


共通の話題が増えるのは嬉しいし。


私の一方的な考えではなかったのかな。


「やー。前にさ、アキと話してたじゃん?」


「“リトマメ”と“右大臣”?」


「そう」


あー…


あったな。


それも何回も。


アキはああみえて本の虫だし。


本のことで熱く語れる唯一の仲間だ。


もっとも、アキからすれば私では物足りないのかも知れないけど。


「一瑠があんまり楽しそうに話すからさ」


そう言いながら体勢を直した。


柚奈がベットの上で、私が普通に座ってるから見下ろされる形になる。


効果音がつきそうなくらい口角を上げて目を細めた。


爽やかな笑顔。


見てるこっちが気持ちよくなる。


オリンピックで金メダルをとったスポーツ選手のような…


競技は水泳あたりで。


まじまじと見れば、柚奈は照れたみたいに笑った。


「アキと本の世界に入っちゃって、あたしと歩乃香はおいてけぼりなんだもん」


「柚奈…」


「だから…ちょっと読んでみようかなって思っただけ」


私がまだたきを繰り返していると


「うるさいなぁ!」


枕をなげつけてきた。


しかしそれは当たることなく受け止められる。


悔しそうに顔をそむける。


「…今、私なにも喋ってなかったよね?」


柚奈に投げつければ
見事後頭部に直撃した。

敵から目を離す方が悪い。


思いっきり嘲笑ってやった。

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